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ヴォカリーズ(ラフマニノフ)

 

Vocalise opus 34, No.14(ヴォカリーズ)

作曲:S.Rachmaninoff(ラフマニノフ 1873-1943)

20世紀前半のロシアの大作曲家&大ピアニストによって作られた珠玉の名作である。
ラフマニノフは3曲の交響曲、4曲のピアノ協奏曲、2曲のピアノソナタを含む多数のピアノ曲、管弦楽曲、合唱曲、歌曲がある。
代表作は「ピアノ協奏曲第2番ハ単調 Op.18」で、特に第3楽章が美しい。「のだめカンタービレ」ファンにとってもはずせないところだろう。
また、フィギュアスケートの村主章枝が演技で使用している。

本曲は「14の歌曲集 作品34」の中の1曲。
ヴォカリーズとは本来、[a]、[u]などの母音のみを使用して「言葉をつけずにおこなう発声練習」として歌う曲を指すフランス語である。
現代では「ヴォカリーズ」といえばラフマニノフといっても過言ではない。
原曲は声楽であるが、その美しいメロディーは数多くの演奏者の演奏意欲を掻き立ててきた。
現在でも多くの種類の演奏が世に出ている。
オリジナルの声楽曲はもちろんだが、オーケストラや、弦楽四重奏、ヴァイオリン・チェロ・フルート等とピアノの二重奏、吹奏楽アンサンブル等もある。
僕がこの曲を知ったのは、富田勲のシンセサイザー音楽(ドーン・コーラス)だった。

曲のテンポはゆっくり(Lentamente Molto cantabile)、厳かにスタートするが、すぐ旋律が出現する。
よく計算されたベースランニングと和音展開のもと、美しくも切ないメロディーが繰り広げられる。
聞けば聞くほど「とりこ」になる曲である。
このメロディーラインは、マンドリンにもよくフィットすると思うのだが、なぜかマンドリン合奏曲としては定番の編曲がないのが残念である。
そこで、今回新たに、この曲の編曲を試みることにした。

もともと熟知した曲だったので、90%程度に仕上がるまでにはほとんど時間がかからなかった。
問題はその後である。
随所にみられる美しい和音構成をマンドリンオーケストラパートに展開するにあたって、その響きに納得のいかない細部が何ヶ所かあり、パソコンを開く都度、何度も書き直した。
本曲へのこだわりから、どうしても妥協したくなかったのである。
なんとか完成して、定期演奏会で演奏することができ、ほっとしている。

※第64回定期演奏会で本曲を取り上げるにあたって、2006年5月に執筆したものです。

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