懐かしき追憶
Care Memorie
作曲者 Giuseppe Filippa(フィリッパ)
編 曲 中野二郎
本曲はもともと1898年に発表された吹奏楽曲だが、中野二郎氏によってマンドリン曲に編曲されたもので、定番曲のひとつになっている。
本曲は序奏、五つの軽快なワルツと終曲で構成され、それぞれ恋人に語りかけるような美しい旋律が魅惑的である。
これまで3度、この曲の演奏機会に恵まれた。
最初に演奏したのは、大学3年5月のスプリングコンサート。この時は2ndを弾いた。
その年の冬の定期演奏会ではコンサートマスターをやることが決まっていたので、2ndのパートリーダーとして最後のステージだった。
このコンサートに先立って、まだ春浅い時期、油谷湾のそばの「油谷青年の家」で合宿をしたことを覚えている。
キラキラと輝く油谷の海のそばで、これといった悩みもなく、2ndパートのメンバーと暢気にパート練習に勤しんだものだ。
その後、平成13年にムジカ・セマディオーレで演奏した。
この時は各パート1人づつの6人編成。
今度は1stを担当したが、フィナーレの2回目は思いっきりテンポを速くして遊んでみた。
観客で来ていた往年のマンドリンクラブのメンバーには、この曲にとても懐かしんでくれた。
僕の現役時代は速弾きが専売特許だったが、卒業後何年も経って、白髪まじりになった僕が相変わらず熱く速弾きにチャレンジしている姿が痛々しくも、妙に懐かしかったとのことである(笑)
そして、昨日3度目の演奏をした。
合奏が好きで集まった複数の団体や個人により、縁あってアンサンブルが構成された。
僕にとっては、初めてお手合わせするメンバーだったが、何だか妙に刺激的で、わくわくしていて、メンバーはみんなとってもいい人だし、真剣な半日単位の練習の中、その合奏の楽しさに、多忙な日々で傷ついている心はしっかり癒された。
練習には、主に日豊本線の特急を利用したが、2度ほど車で行ってみた。
運転するには単調な国道10号線をひたすら南下し、ハーモニーランドを横目で見ながら日出町の峠を過ぎると…
突然、眼下に美しい別府湾の海が広がってくる。
そして遠方には壮大かつ優美な九重連山。
子どもの頃、高崎山の猿に持っていたカンロ飴を取られたこと、バスに揺られて行った小学校の修学旅行、職場のみんなとの久住登山、恋人や友人とのドライブ、東九州一人旅…
色々な懐かしい追憶が蘇ってくる。
そんな小旅行気分で足を運んだアンサンブル企画も、とうとう終わってしまった。
僕にとって、記憶に残る素敵なロングバケーションだったと思っている。
懐かしき追憶となるだろう。