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希望のエチュード

 

2013年11月、新日鐵住金マンドリン合奏団第71回定期演奏会で第2作目になる本曲を初演したところ、この曲のメッセージを何とか伝えることができたようで、暖かい感想をたくさんいただき、本当に嬉しく思った次第です。

 

 

さて2011年に発表した第1作目の「最後のダンス」は、「大人のせつない別れ」をテーマとしましたが、次は「希望」をテーマにした曲を書きたいと思っていました。

 

戦後の経済モデルが次第に通用しなくなってきて、社会経済が停滞し、改善がなかなか見られない国際関係や、あるいは度重なる災害など、混沌とした現代社会の中で、私たちは夢を持つことが難しい時代に生きていると思います。

 

さらに、人はみな日々年齢を重ねていきます。例外はありません。

 

過去に、そしてこれからも色々な出会いと別れ、つらいことや苦しいことを経験していく私たち。それらを何とか乗り越えてきたとしても、若い頃に両手いっぱいに抱えていた夢は、ともすれば、歳月を重ねるごとに、いつの間にかどこかにいってしまい、あるいは見えなくなってしまいます。

 

でも、生きていれば楽しいことだってきっとある。

たとえ不器用でも、誰に遠慮なんかすることはない。

年をとっていたって関係ない。

いつの日も何とかして「希望」を抱いて生きていこう。

それがたとえ、ささやかなものであっても。試行錯誤しながら。

そんな風に考えていこう・・・そのための「練習曲」(エチュード)をイメージしました。

 

曲の構成としては、曲の導入部にテーマを配置し、忘れかけている希望をあきらめずに持ち続けている思いを切々と語ります。

やがて暖かい春の光の中(ワルツ)でささやかな幸せに触れ、次第に元気を取り戻しながら、再び冒頭のテーマがギターのメロディにより静かに出現。

新たな希望への手ごたえを感じながら、各パートが相互に絡み合い、テンポや拍子を変えながら、クライマックスを迎えます。

 

私はプロの作曲家ではありません。コンスタントに曲を作ることなど到底できないし、そういう時間もありません。

でも、ご縁あってマンドリンを長く続けさせていただいている僥倖を噛み締め、一人でも多くの方と、これからも音楽の喜びを共有することができればいいなと思っている次第です。

 

(2014.2.27 記)

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