マンドリンオーケストラのための「冬の小組曲」
去る平成27年11月8日、新日鐵住金マンドリン合奏団第73回定期演奏会(北九州市)で、表題の拙作を発表しました。
https://www.youtube.com/watch?v=UQTeacJgaUs
本曲は平成26年2月9日の下関マンドリンアンサンブルフェスティバル(下関市)で、マンドリーノ・ジラソーレが四重奏曲として演奏した作品を、マンドリンオーケストラのために書き下ろしたもので、オーケストラ形式としては初演となります。
本曲は冬の恋人たちを題材として、3つの楽章で構成しました。
色々な事情で一緒にいることができない恋人たちの、悲しくもひたむきな心象風景を表現しています。そして、やがては幸せな未来が訪れることを願います。
第一楽章は、北の街に向かう列車からの車窓を描いた「厳寒の海岸を走る列車」。
2つのテーマを交互に奏でながら、軽快なテンポで厳寒の海岸をひた走る列車。
途中で名も知らぬ駅に停車した列車は、再び異なるテーマのユニゾンによって走り出します。
第二楽章は、甘い語らいを表現した「小春日和の窓辺」。
厚いカーテンの隙間から差し込む朝の光。昨晩の吹雪とは一転して、外は小春日和。窓辺にたたずむ恋人たちの甘い語らいを、ワルツのテンポで表現しました。
第三楽章は「暖炉でバロック」。
バロックの巨匠「ビバルディ」のフレーズをモチーフに使って、別れの日の前夜を描きました。
暖炉の前でバロック音楽を聴きながら次第に寄り添う二人。明日はまた離れ離れになってしまう。次第に切ない思いがこみ上げて終曲します。
この作品は、楽章ごとに異なる3つのカップルの物語なのか、あるいは、あるカップルの三日間の風景なのか、それはこの作品に触れていただく皆さんの解釈にお任せします。
(2015.11.12 記)