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吟遊詩人

 

Suite Medioevale(組曲吟遊詩人)

 1.Corteggio(供奉)
 2.Canzone del Paggio(若き修道士の歌)
 3.Idille(牧歌)
 4.Festa Nuzisle(結婚祝典)
作曲:A.Amadei(アマディ)

昔からスナフキンに憧れていた。
音楽と旅を愛する心優しき孤高の詩人。
ムーミン谷の住民が困ったときに、どこからともなく現れて問題解決のヒントを与え、そして事態が沈静化された頃、さりげなく去っていく。
彼は眉目秀麗、頭脳明晰であり、決して恩着せがましくないのである。
どこのお宅でもきもちよく泊めてもらえるはずなのに、わざわざ村から少し離れたところにテントを張って野宿している。
彼は人を愛するのと同じように、森にそよぐ風、月の光、小鳥のさえずり、小川のせせらぎを愛していると思う。
それら自然の造形に抱かれて寝起きすることは、彼にとっては当たり前なのかもしれない。

この組曲は、そんな彼のような「吟遊詩人」を彷彿とさせる曲である。
アマディは、この曲と組曲「中世の放浪学生」の2曲によって中世のロマンティシズムを存分に引き出すことに成功している。
聞くほどに新たな魅力が出てくる「吟遊詩人」は、和音構成が美しく(特に第3楽章「牧歌」は感涙もの)、何度聞いても飽きない。
音楽や登山を趣味にもつシャイな自分は、容姿はともかく、スナフキンに近いところに位置づけしてみたいものだ。

※2005.3月記。

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